立川駅前の「お魚総本家」は、コース料理で板前さんがその日の魚を一本まるごとさばき、藁焼きを実演してくれるお店です。新鮮な魚の美味しさと、鰹の藁焼きで立ち上がる炎の迫力が満足度120点。御招待いただき、コース料理その他を堪能して参りました。
この日いただいたのは「豪快刺身コース」。全8品で7,000円(税込)です。期待して足を運んだのですが、その期待をさらに上回る内容でした。感動をお裾分けするため、料理を順に紹介していきます。
いただいた「豪快刺身コース」の中身
コースのスペックを先にまとめておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コース名 | 豪快刺身コース《お料理8品》 |
| 料金 | 7,000円(税込) |
| 品数 | 8品 |
| 人数 | 2名様から |
| 飲み放題 | あり(+2,000円) |
| 個室使用料 | 1名あたり+500円 |
| 提供期間 | 2026年3月1日〜10月31日 |
本鮪をはじめとした八種の刺身が主役、というのがウリです。主役の刺身はもちろん、それ以外の一品まで印象に残りました。
お通しは3点盛りで豪華

席に着いて最初に出てきたお通しが、いきなり豪華でした。つぶ貝、カマスの南蛮漬け、そしてう巻き(だし巻き卵に鰻を巻いたもの)の3点盛りです。
南蛮漬けはさっぱりとした口当たりです。つぶ貝の歯触りも最高で、ちょうど丑の日のシーズンでもある鰻を頂けるのも、心遣いを感じました。
主役の刺身は8種盛り。3種の味で楽しめる
造里は旬魚の8種盛り合わせ。この日並んだのは、金目鯛、サワラ、ヒラマサ、アトランティックサーモン、本マグロ、メダイ、生タコ、トリ貝の8種でした(写真は4人前です)。金目鯛は姿を残した豪快な盛り付けで、器や笹、紅葉をあしらった見た目も華やかでした。
刺身に添えられた味が3種類あったことも、うれしくなりました。店オリジナルの出汁醤油、煎り酒、そしてポン酢。好みの味で召し上がってください、とのことでした。
煎り酒とは、酒に昆布・鰹節・梅干しを煮出したもの。江戸時代から伝わる調味料です。白身魚に合うんですよね。梅の酸味と塩味・出汁の旨味が、白身の繊細な味を邪魔せずに引き立ててくれます。
“本日のいち押し鮮魚”は甘鯛。一尾を数種類に分けてくれる
コースには「本日のいち押し鮮魚(1種)」という枠があります。この日は石川産の甘鯛でした。

面白いのが、宴会の最初に当日さばく魚を一本まるごと見せてくれること。そのうえで、刺身・焼き・揚げ・煮から好みの調理法を選べます。私たちは欲ばって、松笠焼き・天ぷら・蒸しと、一尾を数種類に振り分けてもらいました。

同じ魚なのに、調理法を変えるだけで別の料理になる。この楽しさはなかなか味わえません。

松笠焼きには生七味が添えられていました。ぴりっとしながらも香りの良い薬味が、焼いた甘鯛の淡白な身を引き立てます。
名物・かつおの藁焼きは“ショータイム”だった

このコースの名物は、かつおの藁焼きです。ただ皿に乗って出てくるだけではなく、店内でショータイムとして実演もされます。焼き手のスタッフが紹介されてから、藁にバッと火が入る。1メートル近い炎が上がる、ライブ感のある演出です。

この藁焼きは、本場・土佐(高知県)で習得した技だそうです。藁は新潟から取り寄せていて、お米を作ったあとの藁を使っているとのこと。塩で味つけして焼いた塩たたきで、すだちを絞ったり薬味と合わせたりしていただきます。
藁で焼いたカツオは、表面に香ばしい燻香がまとい、塩とニンニクでいただきました。カツオの叩きは、塩ニンニクが一番すきです。
揚げ物・ご飯・甘味まで隙がない

揚げ物は、さばきたての鯵フライとカニクリームコロッケ。揚げたての鯵はサックサクの衣の中に、脂乗りもよいふっくらとした鰺が包まれていて、港町の食堂で食べる新鮮さと、高級店の調理レベルのかけ算の味で頂ける贅沢さです。個人的には塩と辛子で食べるのが大好きですが、添付のタルタルソースも程よい酸味で美味しかった!
カニクリームコロッケはとろりと濃厚。カニクリームは程よい甘味があるからこそ、ソースとの相性が抜群ですよね。
魚介が続いたあとの箸休めにちょうどいい揚げ物でした。

食事は桜海老の炊き込みご飯。土鍋で炊いた、海の香りの芳醇なご飯でした。

留椀は貝汁で、出汁がよく出ていて、コースの締めにちょうどいい一杯でした。お酒の席の汁物が貝というのは、何か身体に優しい気がして大好きです。

甘味は季節のアイス。この日は抹茶アイスでした。ハーブに黒蜜まで添えられて、お酒で火照った身体を最後に甘く冷やしてくれる感じが最高です。
お酒は日本酒が充実。飲み比べもできる

飲み放題は+2,000円であります。ただ、日本酒については飲み放題のメニューとは別に、もっと幅広いラインナップが用意されていました。

この日いただいたなかで覚えているものを挙げておきます。
- あさ開(岩手・辛口)
- 八海山
- 出羽桜(山形)
- 三千盛(岐阜・辛口)
- 大七(福島)
- 農口尚彦研究所(石川)

こうした行き届いているお店なので、もちろん、お酒は注文するごとに新しい片口・猪口を提供されます。そしてその片口・猪口は錫製のもの。これがまたいいんだ。

日本酒以外のお酒も、その味わいに合わせて、様々なサイズ・厚さの器を用意しています。最も美味しく味わえる厚みのもので提供しているのだとか。ハイボールのグラスが、強く握ったら割れてしまいそうなグラスで出てきたとき、なんとも言えない高級感を感じますよね。
通されたのは、個室「朱鷺(トキ)」

料理の話が続きましたが、この日の舞台になった個室にも触れなければなりません。
案内されたのは「朱鷺(トキ)」というお部屋。立川店は最近増床して、上階に個室をいくつか増やしたそうで、朱鷺もそのひとつです。
なかでも朱鷺は、いちばん広くてきれいな部屋でした。写真のとおり、木のテーブルに和の設えが落ち着いた雰囲気で、窓の外には立川のモノレールが見えます。外を眺められる側を、つい上座にしたくなります。
うれしいのが、朱鷺には専用のトイレまで付いていること。ほかのお客さんと顔を合わせずにすごせる心遣いですね。
これなら、誕生日や記念日といったハレの日をゆっくり過ごせます。テーブルは8席分あり、グループでの食事会にもちょうどいい広さでした。
なお、こうした個室を使う場合は1名あたり+500円の個室使用料がかかります。特別な日に使うなら、じゅうぶん納得できる金額だと思います。特別な日のための予約をされるのであれば、そのときに個室について確認してみることをお勧めします。
この満足度は、どこから来るのか
ここまで読んで、なぜこの内容が7,000円で成り立つのか気になった方もいるかもしれません。その背景には、大庄グループという土台があります。
私はこの大庄グループのお店が好きです。お魚総本家もそのひとつ。「腕と魚にこだわり抜く」を掲げた本格板前居酒屋で、立川店は東京2号店にあたります。好きな理由の1つに、グループの規模と、現場の手仕事が両立しているところにあります。
ひとつは、魚の仕入れと流通の力です。大庄グループは全国から鮮魚を集める流通のネットワークを持っていて、毎日30種類以上の魚が各店に入ります。マグロの目利きを担うのは、豊洲の老舗仲卸である米川水産。グループの規模を活かして質のいい魚を買い付け、それをいい状態のまま各店まで届ける。この仕入れと流通の力が、まず土台にあります。
そのうえで、調理は各店の厨房で板前さんが手がけます。セントラルキッチンで仕込んだものを配って温めるのではなく、その日届いた魚をその場で捌く。職人を自社で育てているからできることです。仕入れの力と現場の技、その両方がそろっているからこそ、捌きたての魚がこの価格で食べられるわけです。
以前も、このグループのお店を取材してきました。庄や田町店では、能登産のブリの解体ショーに出会いました。捌いていたのは大庄で腕を磨いて28年というベテランで、最初は未経験から始めたそうです(→庄や 田町店の記事)。
笹塚の三四味屋では、店内のキッチンで捌かれた青魚に肝や卵まで添えられて出てきて、これは定番メニューに載るはずがないレベルのメニューだろう、とひとりで興奮していました(→三四味屋の記事)。
別料金で頂いた美味しいものたち
もうひとつ、このお店の良さは、個人店に伺ったときのように、コースの外にも世界が広がっていることです。
個室には、給仕をしてくださるご担当の方がつきます。その方とやり取りしながら、その日のおすすめや、メニューに載っていない一品を紹介してもらえます。コース外の料理はコース外の料金(別会計)になりますが、選択肢がぐっと広がります。

この日いただいたカラスミ大根も、そのひとつ。強すぎないからすみの塩味と大根の歯触りのコンビが素敵で、日本酒との相性のよさが話題になりました。
QRコードで注文するお店では、こういうサービスはまずありません。タッチパネルで選べるのはメニューにあるものだけ。
「今日いいのが入ったから」とか「これと合わせるならこっち」といった会話は、人がいてはじめて成り立ちます。効率とは逆の価値ですが、大庄グループのお店には、こうした体験ができるお店が結構あるように感じています。

なお、訪問日が僕の誕生月で、豪華なバースデープレートを頂いてしまいました……!こうしたサプライズってもうどのくらいか分からないくらい幸せで、めっちゃ幸せです。

鯛は煮付けとしても登場。目の周りのぷるぷるが大好きな人はぼくだけではないはずです。

お新香も、口に優しく、酒に優しく。
7,000円で、ここまでやる
食べ終えて思ったのは、この値段でよくここまでやるな、ということです。たとえば日本酒の酒器は錫製でした。錫は金属臭がなく、お酒の雑味をとるとも言われます。さらに熱伝導率が高いので、注いだお酒の温度が器にすぐ伝わって、冷やなのか燗なのかを手の感触でも楽しめます。仕入れにしても、板前さんがその日の魚をさばく手間にしても、細部まで手をかけたお店だと感じました。
普通に、ちょっと一杯でふらっと行ける価格でもありながら、本格的な魚料理を味わえる。
特別感が素晴らしい個室で、ハレの日の時間と空間が手に入る。立川で魚を食べたくなったら、まっさきにリストアップしたいお店でした。
店舗情報

- 店名:お魚総本家 立川店
- 所在地:東京都立川市柴崎町3丁目7-3 富栄立川南駅前ビル3・4階(立川駅からは高架で繋がってるので、1階のお店であるかのように入店できます)
- アクセス:JR立川駅南口から徒歩2分/多摩モノレール立川南駅から徒歩30秒
- 電話:042-525-6841
- 営業時間:11:30〜26:00(11:30〜15:00はランチ専用メニュー)/年中無休
- 席数:153席
- いただいたコース:豪快刺身コース《お料理8品》7,000円(税込)/2名様〜/飲み放題+2,000円/個室使用料 1名あたり+500円/コースの来店受付 17:00〜23:00/予約は前日13時まで
なお、同じ時期のラインナップには、二種の藁焼きを楽しめる「藁焼き堪能コース」(8品5,000円)と、豪華食材をそろえた「贅の極みコース」(8品10,000円)もあります。いずれも飲み放題は+2,000円です。予算や好みに合わせて選べます。最新の内容・期間は公式サイトでご確認ください。
※コースの価格・内容は2026年6月の訪問時点のものです。営業時間・席数・アクセスなどの基本情報は株式会社大庄のオープン時公式発表に基づくため、最新の営業時間や予約条件は公式サイト・予約ページでご確認ください。
豪快刺身コースの『本日のいち押し鮮魚』は、どんな楽しみ方ができる?